ローズという名前の女性

ローズ・ワイルダー・レイン


   ワイルダーというファミリーネームでピンと来た方も多いでしょうが、ローズ・ワイルダー・レインは「大草原の小さな家」の著者、 ローラ・インガルス・ワイルダーの一人娘です。 ドラマの「大草原の小さな家」はNHK総合テレビで1975年から1982年まで毎週土曜の18時台に放映されており、当時の子供や大人に大変人気がありました。このテレビ放映をきっかけとして原作も広く読まれるようになりました。
   ローラ・インガルス・ワイルダーは60歳を過ぎてから「小さな家シリーズ」を書き始めています。 アルマンゾと結婚する以前、15歳から小学校の教員を数年務めたとはいえ、結婚後は農家の主婦として働き続けてきたローラがなぜ小説を書けたのか。 もちろん自らの体験に基づく小説の題材は豊富だったかも知れませんが、それを文章にするにはそれなりの才能が必要でしょう。
   実はローラの「小さな家シリーズ」が世に出る影の立役者は、一人娘のローズの尽力によるところが大きいそうです。12月生まれのローズは「12月に咲くバラは夏のバラより貴重」という気持ちを込めて「ローズ」と名付けられたそうです。いかにも大草原で暮らすローラと夫アルマンゾらしい命名ですね。

ベッド・ミドラーが演じた「ローズ」

   1979年公開の映画「ローズ」。ローズのモデルは歌手のジャニス・ジョプリンです。映画の主題歌「The rose」は世界中で驚異的なヒットとなりましたので、耳にされた方も多いでしょう。映画のローズはあくまで映画の中の人物ですが、ジャニスの孤独と世間が捉える人物像と 本来の自己との隔絶感に苦悩する姿がよく映し出されています。
   ローズを演じたベッド・ミドラーはアメリカ国内では圧倒的な人気を誇っており、ラスベガスのショーは豪華絢爛で素晴らしい ものです。日本にはまだ来日していませんが、彼女の売りは政治からゴシップまでジョークを散りばめたマシンガントークなので、 日本での公演はちょっと難しいかもしれません。もちろん映画「ローズ」でその才能が如何なく発揮されたように卓越した歌唱力の持ち主であることは言うまでもありません。

「ローズ・マダー」の主人公ローズ・ダニエル

   ローズ・ダニエルと聞いただけで誰かが判ったあなたはキング好きですね? そう、ローズ・ダニエルはスティーブン・キングの小説「ローズ・マダー」の主人公です。題名の「ローズ・マダー」とは赤紫色(マダーは英語でセイヨウアカネ)のことで、 主人公のローズがある日、神殿の廃墟を見下ろすローズ・マダー(赤紫色)の衣服を着た女性の絵画を購入することにちなみます。
   セイヨウアカネの根から抽出される赤い色素は「アカネ色素」といって、日本では昔から食品に赤系の色を 付ける着色料としても使用されていましたが、発がん性が疑われるため2004年以降、食用・医薬品・化粧品では使用できなくなっています。
   絵具にはいくつかのマダー系がありますが、イギリスのウィンザー&ニュートン社(世界で最も大きな画材メーカー)が 作っている「ローズ・マダー・ジェニュイン(Rose Madder Genuine)」という色は現在でも天然のセイヨウアカネの根から作られているそうです。

ローズ・デウィット・ブケイター


   このローズは映画「タイタニック」(1997年、ジェームズ・キャメロン監督作品)のヒロインです。 ケイト・ウィンズレット演じるローズと、レオナルド・ディカプリオ演じるジャックの悲恋に感動した方も多いでしょう。
   アメリカの没落しかかった上流階級の娘ローズがタイタニック船内でジャックに出会い、 生涯忘れられない数日間を過ごします。ローズが生還し、その後は裕福な暮らしを送ったのに対して、 運命のいたずらからタイタニックに乗船したジャックは氷の海で凍死、ローズの婚約者キャル(俳優はビリー・ゼイン)は 世界恐慌で財産を失い自殺と・・・。その対比があまりに印象的ですね。

   ローズを演じたケイト・ウィンズレットは「タイタニック」以降、多数の映画に出演していますが、2009年6月日本公開の「愛を読むひと」(英名:The reader)で2009年のアカデミー主演女優賞を受賞しました。この映画の原作はドイツの作家、ベルンハルト・シュリンクによる「朗読者」です。 15歳の少年と38歳の女性の恋を描いたこの小説は世界中で大ベストセラーとなりました。 主人公ハンナ役は当初ケイトの筈でしたが、ケイトのスケジュールがあわず、代わったニコール・キッドマンも妊娠したため、 当初の配役のケイトが演じたという経緯がありました。
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