バラの病気と農薬:殺菌剤編
本項ではバラの病気のうち、黒星病とうどんこ病とそれを予防・治療する殺菌剤のお話をしています。
黒星病とうどんこ病 殺菌剤で予防が肝心
バラの2大病気は黒星病とうどんこ病です。
両方とも糸状菌が原因菌なので、殺菌剤で予防中心に防除します。
黒星病(黒点病) Black spot disease |
原因菌 (糸状菌) | プロカルポン ロゼア(Diplocarpon rosae)、 マルソニナ ロゼア(Marssonina rosae)の2種類 |
症状 | 葉に淡褐色または黒色しみ状の斑点が生じ、症状が進むと落葉。写真は農研機構/花き研究所の「花き病害図鑑」より。 |
発症の原因 | 原因菌は要するにカビの一種なので、カビが好む比較的高い温度と湿度下で発生。 |
うどんこ病 Powdery mildew |
原因菌 (糸状菌) | スファエロテカ パノサ(Sphaerotheca pannosa)、 ポドスパエラ パノサ(Podosphaera pannosa)の2種類 |
症状 | 茎葉、蕾にうどんこをふりかけたように白い斑点症状が発生。写真は農研機構/花き研究所の「花き病害図鑑」より。 |
発症の原因 | 曇天が続いて乾燥状態、枝葉が茂り過ぎで風通しが悪い状態で発生しやすい。 |
黒星病(黒点病)&うどんこ病の薬剤 |
黒星病& うどんこ病の予防剤
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カスミンボルドー |
農薬登録番号:第14625号。
ボルドー液とカスガマイシンの混合剤。 ボルドー液は生石灰と硫酸銅の水溶液で100年以上前から使われており有機農産物に使用できる農薬。カスガマイシンはタンパク質の生合成を阻害する抗生物質で、奈良県春日大社境内の土壌から分離された放線菌が産出したことから命名された。 バラに対しては100~300倍希釈で使用回数は6回以内。 |
エムダイファー水和剤 |
農薬登録番号:第10557号。
カスミンボルドーのような銅剤と同時に散布すると薬害が出るので注意が必要です。主成分はマンゼブ(またはマンネブ)、化学名はマンガニーズエチレンビスジチオカーバメート。 バラに対しては400~650倍希釈で使用回数は8回以内。 |
ジマンダイセン |
農薬登録番号:第22345号。
主成分はマンゼブ。 バラに対しては400~600倍希釈。 |
ダコニール1000 |
農薬登録番号:第21759号。
主成分はテトラクロロインソフタロニトリル(TPN)。 バラに対しては1000倍希釈で使用回数は6回以内。
高温時に散布すると薬害が出るので夏の散布は避けたほうが良いでしょう。 |
オーソサイド水和剤80 |
農薬登録番号:第11508号他
黒星病の予防剤。主成分はキャプタン(化学式C9H8Cl3NO2Sで表されるN-ハロアルキルチオ系有機化合物)。
左の商品画像は第11508号のサンケイオーソサイド水和剤80です。これ以外にも複数の会社が製造販売しています。
バラに対しては800倍希釈で使用回数は8回以内。
茎腐病・立枯病・苗立枯病対策にも使用されます(600倍希釈)。
カスミンボルドーのような銅剤と同時に散布すると薬害が出るので注意が必要です。
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黒星病& うどんこ病の予防剤 兼 治療剤
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トップジンM水和剤
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農薬登録番号:第11573号他。
予防効果の他、治療薬としても効果があります。
左の商品画像は日本曹達製で、他に第20976号日本農薬製もあります。
主成分はチオファネートメチル(ベンズイミダゾール系殺菌剤)。 バラに対しては1,000~2,000倍希釈で使用回数は5回以内。 |
※注意※ トップジンM水和剤とベンレートは同じ系統の殺菌剤なのでローテーションを組んでも効果は上がりません。 |
ベンレート
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農薬登録番号:第20889号。
予防効果の他、治療剤としても効果があります。
主成分はベノミル(ベンズイミダゾール系殺菌剤)。 バラに対しては2,000~3,000倍希釈で使用回数は6回以内。
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トリフミン
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農薬登録番号:第16300号。
うどんこ病の予防効果の他、発病初期の治療剤としても効果があります。
主成分はトリフルミゾール。 バラに対しては3,000~5,000倍希釈で使用回数は5回以内。 |
※注意※ トリフミン、サルバトーレM、サプロール乳剤は同じ系統(エルゴステロール
生合成阻害剤,略称;EBI剤))の殺菌剤なのでローテーションを組んでも効果は上がりません。 |
サルバトーレM
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農薬登録番号:第20231号。
黒星病・うどんこ病の予防効果の他、発病初期の治療剤としても効果があります。
主成分はテトラコナゾール。 バラに対しては2,000~3,000倍希釈で使用回数は7回以内。 |
サプロール乳剤
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農薬登録番号:第22135号(クミアイ化学工業),第22136号(住友化学園芸)。
黒星病・うどんこ病の予防効果の他、発病初期の治療剤としても効果があります。
主成分はトリホリン。 バラに対しては1,000倍希釈で使用回数は5回以内。 |